外国語教育メディア学会関西支部中高授業研究部会 12月例会
日時:12月10日(日)15:00-16:30 Zoomによるオンライン開催
内容:
「英語教育にもっとパトロゴス(pathologos)を!」 西本有逸(京都教育大学)
パトロゴスとは『情と意の脳科学』(松本元・小野武年編 培風館 2002年)p.280からの引用である。言葉(ロゴス)と情動(パトス)が調和/融合された造語である。「情動機構においても、それが言語機能と結びついたとき、発現形態に質的な発展が生じる。つまり、情動機能は高次の認識機構が基盤にあったときに、芸術や文学の分野において格段に高いレベルの機能が発揮される」のである。知識技能と思考判断表現力の育成の彼方には意味生成があるのであり、パトロゴスのパラダイムが広がる。真なるもの善なるもの美しいもの(真善美)は教育の営みの根幹を成すということを英語教育は忘れてはいないか。
「言語芸術を題材に「美しい」と感じる人のこころに迫る」
櫃割仁平(京都大学大学院教育学研究科博士後期課程)
「古庭や月に湯婆 (たんぽ) の湯をこぼす」という句を読んだ時に何を感じるだろうか?世界最短の詩と称される「俳句」は、その情報量の少なさから、いつも「曖昧さ (ambiguity)」を抱かせる。その曖昧さは、日常のコミュニケーションでは避けられることが多いが、俳句を含む言語芸術では受容され、時に期待されている。本発表では、俳句の曖昧さが美しさの感じ方とどう関係しているのかを検討した私たちの4つの心理実験を紹介し、よりジェネラルな「美しい」と感じる人の心についても考えたい。また、先の俳句は “An old garden. Under the moon, she empties my stone hot–water bottle.” と英訳されている。詩人ロバート・フロストが「詩とは翻訳で失われるもの」と述べたように、翻訳された英語俳句には「詩」が失われているのかもしれない。そこで指す「詩」とは何か、詩的であるというのはどういう状態か、ということに最近は興味を持っていて、英語の教え方研究会の先生方とともに考えたい。
参加費:無料
要予約:下記問合せ先へ前日までにメールによる
問合せ先:西本有逸(yuitsuアットマークkyokyo-u.ac.jp)