まず、大会の背骨となる3つの基調講演(大会テーマのキーワードに連動しています)には、世界的に著名な研究者の参加を得ることができました。「認知科学」の分野では、カナダ・ヨーク大学のエレン・ビアリストーク教授が本大会のために来日されます。同教授は、バイリンガリズム、メタ言語知識と第二言語習得、子どもの読み書き能力の習得、コミュニケーション方略研究などで世界的な権威として知られており、6冊の専門書と100編以上の論文を公刊されています。このうち、In Other Words: The Science andPsychology of Second Language Acquisition (Hakuta, K.との共著)は『外国語はなぜなかなか身につかないか:第二言語学習の謎を解く』(新曜社)として邦訳・出版されています。「脳科学」の分野では、東京大学大学院の酒井邦嘉先生をお迎えします。同先生は、fMRIを駆使して脳と言語の関係性の解明に挑まれており、Science などの国際研究誌に「文法中枢」に関わる研究などを次々に発表しておられます。また、一般書(中公新書より)として『言語の脳科学』や『科学者という仕事』(研究を志すものの心を奮い立たせる良書です)なども執筆されています。3つ目の「社会文化」の分野では、大阪大学大学院の西口光一教授をお招きしました。同教授は、ヴィゴツキアンの立場から日本語教育を推進されており、凡人社から出版された『文化と歴史の中の学習と学習者』は、社会構成主義的アプローチの具現体として、広く注目を集めています。
LETの全国大会といえば、ワークショップの充実ぶりも大きな特色といえるでしょう。今大会も例外ではありません。ここでは、参加者のみなさんに、いろいろなパラダイムやアプローチに基づいた教室実践や教材作成、調査手法を体験していただき、それぞれに理解を深めていただくことが狙いとなります。各講座で扱われるトピックは、“Task-based Language Teaching”,「音読・シャドーイング」、「教師の質問力」、「英語ノートの活用」、「スピーチ入門」、「リスニング教材とテスト作成」、「授業実践データの解析」と実に多岐にわたっていますが、参加者のみなさんを大いに刺激するという点は、すべての講座に共通しています。すでに受付も始まっておりますので、ホームページからお早めにご予約下さい。